• 洋上風力導入量GIS評価ツールは、再エネ導入量GIS評価ツールの一つとして、洋上風力発電の中長期的な導入目標の策定に向けて、各種設置条件を基に、洋上風力発電の設置対象となる海域、および同海域に設置可能洋上風力発電の設備容量を評価するツールです(地上設置型太陽光発電・陸上風力を対象とした評価ツールは近日公開予定)。
 


表 本研究で整備したメッシュデータ (500mメッシュ)
要素 緒言
離岸距離  本研究にて計算
年間平均風速  高さ100m地点における年間平均風速 (出典:NEDO NeoWins)
水深  日本海洋データセンターの水深データ (出典:国土交通省 J-EGG500)
漁業権  (出典:国土数値情報の「漁業権」を基に作成)
船舶通行量  2014年1月-12月のAIS搭載船の船舶通行量
(出典:海上保安庁より提供の 海洋台帳の船舶通行量データ)
その他
各地域の有無
・自然公園・海岸保全区域
(出典:国土数値情報の「漁業権」「自然公園地域」「海岸保全施設」を基に作成)
・在日アメリカ合衆国軍の海上訓練区域
(出典:海上保安庁 海洋台帳の「米軍演習区域」を基に作成)
  ※ 本研究ではUTM座標系(第53帯)で面積を推計した。

基本シナリオ  

  • 本評価ツールでは、以下の4種類のうちいずれかの設置条件を選択し、選択した条件に応じた結果を出力します。
(1)受容性優先シナリオ (2)設置優先シナリオ (3)再エネ海域利用法対象 (4)環境省設定*3
「促進区域」の指定を受ける対象となる海域で、受容性が比較的に高いと想定される海域。

(参考: H.Obane et al.
社会経済研究所DP20005
「促進区域」の指定を受ける対象となる海域で、利害調整の難易度が比較的に低いとされる海域。

(参考: H.Obane et al.
社会経済研究所DP20005
「促進区域」の指定を受ける対象となる海域。



(参考: 尾羽ら,
電中研研究資料Y19502
)
環境省の導入ポテンシャル調査において設定されている条件。


(参考: 環境省報告書
離岸距離 10-22.2km に設置可*1
(領海内)
5-22.2km に設置可*1
(領海内)
0-22.2km に設置可
(領海内)
0-30km に設置可
(領海外を含む)
年間平均風速 7.0m/s以上に設置可
(再エネ海域利用法ガイドライン記載の風速)  
6.5m/s以上に設置可
水深 0-200mに設置可
漁業権 設置不可 設置可
船舶通行量 4隻/月 未満に設置可
(1隻/週未満に相当)
21隻/月 未満に設置可*2 31隻/月 未満に設置可
(1隻/日未満相当)
未考慮
自然公園 設置不可 海域公園には設置不可
離島周辺 設置不可
海岸保全区域 未考慮
海上訓練区域
 *1 高さ180mの風車を設置した際に、視点から風車までの距離が5-10kmの際に、垂直見込角が1-2°となる(詳細)。
 *2 西海市・新上五島町のゾーニングで洋上風力設置の候補エリアから除外するとした通行量上限(詳細

 *3 環境省の導入ポテンシャル調査を近似した条件であるが、一部緒言等が異なるため、結果は完全には一致しない。
        環境省調査では、離島を除いた条件はシナリオの一つとして試算している。

 
*1 内訳は図中の左から右方向へ順に設置条件を加えた場合の数値を示し、条件の順番により変動する。
*2 海岸保全区域と在日アメリカ合衆国軍の海上訓練区域の除外を指す。  
図 各設置条件における洋上風力発電の設備容量の比較

   再エネ海域利用法について

海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(再エネ海域利用法)
  • 2019年4月に再エネ海域利用法が施行され、内水を含む領海を対象に、洋上風力発電の長期占有のための手続き、および利害関係者との調整の枠組みが整備された。
  • 同法では洋上風力に係る海域の利用を促進するための手続きや、先行利用者との調整の枠組みが整備され、我が国の領海及び内水の海域のうち、同法内の基準に適合する⼀定の区域を「海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域」(促進区域)として指定することが可能となった。
  • 対象海域に指定されるためには6つの要件(自然条件、航路等への支障、港湾との一体的利用、電線路との電気的接続、漁業への支障、他の法律により規定される水域との重複)が規定されており、指定された区域内では最大30年間の占用許可を事業者は得ることができる。

促進区域の指定プロセス

再エネ海域利用法に基づく「促進区域」の指定プロセスとして、以下のような全体像が示されている。

 
図 促進区域の指定プロセス

参考文献: 経済産業省・資源エネルギー庁,洋上風力発電関連制度


 
評価ツールの利用